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2023年10月09日
コラム

看護学と女性のみらい vol.5

“本当のキレイを目指すには-女性ホルモンと思春期のダイエット-

 今回のコラムから、女性の健康に焦点を当てて、記事を書いてみたいと思います。“きれいになりたい”“スタイルがよくなりたい”と女性なら誰でも望むことだと思います。美しさというと、容姿などの外見“からだ”を考えがちです。また、内面の美しさというと“こころ”の美しさを想像する人が多いと思います。女性は月経周期により“からだ”や“こころ”が影響されますが、それには女性特有の臓器やホルモンが関連しています。そこで、後半の4回のコラムは、女性の内面の美しさを保つことにつながる、子宮や卵巣、女性ホルモンの話をしたいと思います。

 今回は、女性ホルモンと思春期のダイエットについての話です。女性ホルモンとは、エストロゲンとプロゲステロンのことです。これらのホルモンによって、女性は月経周期がコントロールされています。端的に言うと、女性ホルモンの働きとは、「女性らしいからだを作る」ことです。エストロゲンは、女性らしさを作るホルモンで子宮や卵巣、乳房に作用します。さらに、生殖器だけでなく、骨や血管、皮膚などの全身の臓器の働きに関係します。プロゲステロンは、妊娠への準備や維持に関係するホルモンです。プロゲステロンには、受精卵が子宮内膜に着床しやすいように、子宮内膜の状態を整えたり、妊娠すると体温を上昇させる作用があります。

 思春期になると第二次性徴によってエストロゲンの分泌量が増えます。そのため、皮下脂肪が増加し、骨盤が大きくなり女性らしい体形になります。この急激なホルモン分泌の変化により、自分をコントロールできず、ちょっとしたことで怒ったり、反抗したりと体の発達にこころが追いつかないことが多くなります。そのため、思春期はこの心と体のアンバランスさによって、性感染症や予期しない妊娠、摂食障害などの問題を起こすことがあります。特に、過度なダイエットによる食生活の乱れは、女性ホルモンのバランスを崩してしまい、月経不順や無月経など月経周期に影響を与えます。また、この女性ホルモンの減少によって、肌の潤いを保てなくなることや髪のツヤが失われることにつながります。さらに、思春期は成長のスパート期であるため、カルシウムを摂取することで骨量を効率よく増やすことができます。しかし、このカルシウム貯金ができていないと、高齢者になりエストロゲンが減少すると骨粗鬆症になり骨折しやすくなります。

 思春期には容姿などの外見を気にするあまり、ダイエット志向が強くなります。しかし、それは女性ホルモンの働きを妨げ、一時的な月経停止に留まらず、将来の妊娠や出産、更年期以降の体作りに悪影響を及ぼします。キレイになるためにやっている人が多いダイエットですが、過度なダイエットは実は子宮や体には悪く、老化を早めることにつながります。本当の意味でキレイになるには、内面から美しさを保つ“女性ホルモン”にも関心を向けてほしいと思います。

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