女性のこころ vol.10
“自分もいずれなるかも?? 認知症って、どんな病気?その2”
前回のコラムでは、アルツハイマー病について解説しました。認知症の原因としては、アルツハイマー病が最も有名ですが、その他にも色々な認知症の原因疾患があり、それぞれ症状が違うことをご存知でしょうか。
最近、注目を集めているのが「レビー小体型認知症」です。レビー小体型認知症は、認知症の原因となる脳の変性疾患としてはアルツハイマー病についで多い病気です。
レビー小体型認知症の特徴の一つ目は、認知機能の変動です。認知機能の変動というと難しい感じがしますが、”突然ぼんやりした”とか”急に眠くなった”、”覚えていない時間がある”などの訴えとしてあらわされることが多いようです。この認知機能の変動は、数分のこともあれば何時間・何週間と続くこともありますが、その後、元に戻ります。
二つ目の特徴は、幻視です。”小人が走り回っている”とか、”人影が見える、誰かいる”といった訴えであらわされます。空中に舞う埃が小人に見えたり、ベットの柵が蛇に見えるといったこともあります。統合失調症などの幻視と違い、後で振り返って患者さん本人が具体的に内容を語れることが多いようです。
三つ目の特徴は、REM睡眠行動障害です。これは、眠っている間に、明瞭な会話をしたり、叫んだり、くすくす笑ったりする症状です。REM睡眠行動障害は物忘れなどの記憶障害が始まる何年も前から現れることがあります。
四つ目の特徴は、うつ状態です。レビー小体型認知症ではアルツハイマー病よりも高い確率で、重篤なうつ状態が見られます。物忘れなどの記憶障害の2年から5年ほど前からうつ状態があるようです。高齢者のうつ状態がレビー小体型認知症の始まりの症状だったいうことも少なくないとされています。
次回以降のコラムでは、前頭側頭型認知症について解説していきます。
参考文献
渡辺恭子:老年期の心理査定と心理支援に関する研究.風間書房,2020