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2022年08月01日
コラム

女性のこころ vol.5

“女性に多いこころの病:摂食障害その1”

美味しく食事ができる!!これは、身体が元気で健康な証拠ですね。ただ、ちょっと体重のことも気になり、時々ダイエットに励んでみるという女性も多いのではないでしょうか。適度なダイエットは、生活習慣病の予防にもいいですし、健康を保つためにも良いのかもしれません。

ところが、食事をすること(専門用語で「摂食」と言います)と、自らが行う体重コントロールのバランスが崩れ、生命の危険にさらされる病があります。これらを総称して「摂食障害」と言います。なお、摂食障害の診断基準は満たさないけれども、何らかの摂食障害の症状を持つ青年期の女性は全体の5%(!!)という報告もあります。一説によると、ダイエットをきっかけとして、摂食障害様の状態になる女性が一定程度いるともされています。また、近年、摂食障害の症例が増えているとされています。

摂食障害で苦しむ人は世界中にいます。例えば、歌手のカーペンターズのカレンが32歳で摂食障害のため死亡していることをご存知の方も多いのではないでしょうか?カレンの死は摂食障害を世に知らしめました。他にも、テイラー・スイフト、リリー・コリンズ、レディー・ガガ、ゾーイ・クラウィッツなどが自身の摂食障害を告白しています。リリー・コリンズはNetflixの映画『心のカルテ』(『To the Bone(原題)』)で自身も苦しんだ摂食障害の少女を演じています。

摂食障害は、男女比=1:9で圧倒的に女性に特に多いと言われています。中には女性が男性の10−20倍多いとする疫学調査もあります。その発症は10歳代から20歳代で、最も多いのが14歳から18歳、平均は13歳ごろです。発展途上国では少なく、先進国に多い病とされています。家庭の状況を見てみると、両親家庭で両親の学歴も高く、ごく普通の家庭も多いようです(井口,2022)。一方で、摂食障害の患者は母親からの心理的分離ができていない、自分の成長を拒んでいる、自立や自我が確立していない、特に女性の患者の場合は少女から大人の女性へ成長することに対する抵抗があるといった指摘もあります(カプラン臨床精神医学テキスト)。

では、具体的には、どのような病なのでしょうか。

次回のコラムでは、摂食障害に含まれる「神経性痩せ症」や「神経性過食症」などについて解説します。

参考文献:
サドック他(監修 井上令一):カプラン臨床精神医学テキスト 第3版,DSM-5診断基準の臨床への展開. メディカル・サイエンス・インターナショナル,2016

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