「実践!初めてのマインドフルネス」体験レポート

静かに自分と向き合い、こころとからだに栄養を与えよう。

実践!初めてのマインドフルネス

主催:金城学院大学 女性みらい研究センター
協力:シティリビング

グーグルやインテル、アップルといった世界の名だたる企業が社員研修に採用したり、テレビや雑誌で特集が組まれるなど、いま大きな注目を集めている「マインドフルネス」。
でも、マインドフルネスという言葉は見聞きしているけれど、具体的にどういうものかわからないという方も多いのではないでしょうか。
金城学院大学 女性みらい研究センターでは、マインドフルネスの魅力をひとりでも多くの方に知っていただきたいという思いから、『実践!初めてのマインドフルネス』を定期的に開催。慌ただしい日常を離れ、静かに自分と向き合うひとときに、私たちを誘ってくれます。
それでは、実際の講座の様子や、どんなことが学べるのかを、プログラムに沿ってご紹介します。

PROGRAM 1「マインドフルネスとは、その効用と実践法」(30分)

今回の『実践!初めてのマインドフルネス』の会場は金城学院大学KIDSセンター。木の温もりに包まれた、居心地の良い空間です。

講座は全4時間(10:30〜14:30)。プログラムは、マインドフルネスとは何か、注目される理由やその効能、実践法などについての講義から始まります。講師は金城学院大学 女性みらい研究センター長でもある、人間科学部 多元心理学科の宗方比佐子教授。

講座の様子

宗方比佐子教授

金城学院大学KIDSセンター

「今、この瞬間」に気づき、ありのままを受け入れる

マインドフルネスは、瞑想とヨーガをベースとした“こころとからだの休息法” 。

現在のマインドフルネスの考え方の礎となる「マインドフルネスストレス低減法」を開発したジョン・カバット・ジン博士(米国マサチューセッツ大学医学大学院教授)は、「意図的に、今この瞬間に、価値判断にとらわれることなく、注意を向けること」と定義しています。つまり、過去や未来、良い悪いの判断や価値観にとらわれず、「今この瞬間」に起こっていることに意識を集中させる、ということです。

「今日はいろんな瞑想を体験して、気づく練習をしましょう」

マインドフルネスの効用

もともと「マインドフルネスストレス低減法」は慢性的な痛みやストレスを緩和するために開発されたプログラムで、1979年、マサチューセッツ大学医学部で初めて導入され、一定の成果が得られたことから、医療現場で広まりました。

さらに近年では、脳科学の進歩によって、マインドフルネスが脳の構造に変化を与えることが明らかになったこと。痛みの緩和やストレスの軽減、うつ病の再発予防、免疫機能の向上、知的能力の向上など、さまざまな効果があることが科学的に実証されたことから、現在では医療・健康だけでなく、ビジネス、教育、研究、福祉などさまざまな分野に広がり、活用されています。

なお、本講座で行う瞑想は、すべてこの「マインドフルネスストレス低減法」のオリジナルプログラムに沿った方法で行われます。

PROGRAM 2マインドフルヨーガ(20分)

瞑想をベースにしたヨーガで、こころとからだをリセット

「講義」が終わったら、早速実践へ。「マインドフルヨーガ」からスタートです。

「マインドフルヨーガは、呼吸、動き、身体感覚などに注意を集中するためのトレーニング。つまり、ひとつの瞑想なんです。ゆっくり息を吐くだけでも副交換神経が活性化し、リラックスできますよ」と宗方教授。

やり方のポイントは
①呼吸とからだの動きをあわせること、②ゆっくり動くこと、③からだの変化を感じること。

マインドフルヨーガを続けることで生まれる効用は
①調身(からだが整う)、②調息(呼吸が整う)、③調心(こころが整う)。

からだの調子を整えることで呼吸が整い、からだと呼吸が整えば自然にこころも整ってくる・・・こころとからだ、呼吸は深くつながっているのですね。

肩を大きくまわしたり、片足立ちをしたり。自分のからだと対話をしながらポーズをとっているうちにからだが温まり、心身がほぐれていくのがわかります。

PROGRAM 3ボディ・スキャン瞑想の実践(20分)

自分のからだのすばらしさを見なおそう。

ヨーガの次は、ボディ・スキャン瞑想。ファリシテータは岡島祐実子さん。

ボディ・スキャンは、自分のからだを感じ取り、自分のからだのすばらしさを見なおすための実践。床にあおむけの状態で寝そべって眼を閉じ、足の指先から頭のてっぺんまで、順番に注意を移していき、そこから生じる感覚すべてを感じとっていきます。

「左足のつま先を感じ、つま先とともに呼吸をします」

「息を吸うときに、肺から左足のつま先に空気が流れていくことをイメージします」

「しびれている。温かい。冷たい。そこにある感覚をあるがままに感じ取っていきます」

「左のつま先から注意をゆっくりと離し、意識を左の足裏へと移動させます」

岡島さんの穏やかな声に導かれながら、からだの一つひとつに注意を向けていくうちに、いつしかこころもからだも深いやすらぎに包まれているのを感じます。

臨床心理士で、企業内カウンセラーも務める岡島祐実子さん。

PROGRAM 4食べる瞑想・歩く瞑想の練習(30分)

食べながら、歩きながら。日常生活でもマインドフルネス

食べる。歩く。そんなふだんの生活の中でも、「今この瞬間」に注意するトレーニングを行うことで、マインドフルネスの効果が得られます。

食べる瞑想

たとえば一粒のレーズンを食べるときは・・・
つまんだり、手のひらに乗せたり、転がしたり。色や形、香り、触った時の重さや感触などをじっくり観察します。
色や形、香りを十分に確かめたら、口に入れます。最初は噛まずに、口の中で形や味、感触を味わいます。

次に、ゆっくり噛みながら味の変化や風味の広がりを楽しみ、これ以上は噛めないというところまで噛んだら飲み込み、喉を通るときの感覚を感じます。

レーズン、チョコレート、アーモンドの中から好きな食べ物を選び、ゆっくり味わって食べます。

たった一粒のレーズンでも、五感をフルに働かせ、ゆっくり味わうことで、新たな発見や気づきが生まれます。時間をかけ、よく噛んで食べることで満腹感も得られ、ダイエットにも効果があるそうです。

歩く瞑想

歩くということだけに意識を集中し、自分がどう歩いているか、足裏の感触も確かめながら、2メートルのヨガマットの中を、ゆっくり、行ったり来たり。
慣れてきたら、まわりの風景や聞こえてくる音など、外から入ってくる情報も、脳内で実況中継するような感じで、観察しながら歩みを続けます。

PROGRAM 5ランチタイム(50分)

ランチはDEAN & DELUCAのランチボックス。各自、自分の好きな場所を見つけ、ひとりでマインドフルに味わいます。食後は周囲の公園や森に場所を移し、太陽の光や空の色、建物の色、風の温かさや冷たさなどを目と肌で感じながら散策します。

ランチの様子。色とりどりの野菜が主役のランチボックスとクロワッサン。

PROGRAM 6静座瞑想(30分)

静かに座って、呼吸に集中する

いよいよ最後の実践、静座瞑想。深い静寂の中、岡島さんの誘導にあわせて瞑想を深めていきます。

  1. まずは自分の呼吸に注意を向けることに集中します。
  2. 注意の範囲を、身体全体へと少しずつ広げ、全身の感覚を感じとります。
  3. 注意の対象を音へと向けかえ、何の音かを判断せず、ただ聞くことだけに集中します。
  4. こころにわいてくる考えのプロセスを、眺めるかのように観察します。
  5. 注意の対象を特定せず、自分の内側と周辺で起きる全てのことに気づきを向けます。

鐘の音とともに、30分の瞑想タイムが終了。
「瞑想中は雑念が次々にわいてきますが、そのステップすべてが瞑想。雑念がわいてきたら、それに気づき、そのたびに呼吸に注意を連れ戻すことが大切です」と岡島さん。とてもシンプルですが、初心者にとってはこれがなかなか難しい。
気負わず、自然体で臨めるよう、気づきの練習を重ねていきたいものです。

PROGRAM 7交流会(30分)

プログラムの最後は、3人が1組になり、今日の体験を分かち合う交流会。美味しいスイーツと温かいお茶をいただきながら、今日の瞑想で気づいたことや疑問に思ったことなどを語り合いました。

交流会のお供は、DEAN & DELUCAのスイーツ。

マインドフルネスを、日々の生活の中に取り入れよう

「今日はマインドフルネスの世界への最初の一歩。今日の体験を大切に、一歩一歩マインドフルネスの世界に入っていきましょう」と宗方教授。
岡島さんも、「瞑想の方法がわかったら、大切なのは続けること。朝起きたとき、夜寝る前、いつでもいいので自分の都合のいい時間を設定し、5分でも10分でもいいので、静かに座る練習をやってみましょう。毎日の習慣にすることで、こころが安定してきます」と続けます。

「スマホやパソコンを見ながら食事をしたり、資料を読んだり。情報があふれる現代にあって、誰もが複数のことを同時に行っています。そんな状態が続くと脳もこころも消耗してしまいます」(宗方教授)

そんな疲れた脳やこころを休ませ、栄養を与えてくれるのが、マインドフルネス。
歩きながら、食事しながら。家の中はもちろん、オフィスや信号待ちの交差点、あるいは通勤電車の中で。マインドフルネスは、いつでも、どこででも、できます。マインドフルネスを習慣化することで、自分の中にどんな変化が生まれるか。楽しみながら続けていきましょう。

参加者の方々からは、こんな声が寄せられました。

プログラムが進むごとにエネルギーが満たされていく感じがした。
静かに過ごす分、人と会話することに意欲的になる気がした。食事もふだん「おいしい」と一瞬だけ感じて食べていただけで、本当はこんなにも長い時間「おいしい」ということが持続できて、満足感を得られるものなのだと初めて知った。

日頃忙しすぎて自分と向き合うことはない状態が何年も続いていました。今回初めて参加させていただきましたが、自分をみつめるよい機会となりました。
からだとこころはつながっているのだなぁと、少し背中の肩甲骨が痛いですが、ポジティブな痛みでした。

第1回目を受けてから、仕事で衝動的になったときに、一呼吸入れることで落ち着いてやることができるようになりました。2回目を受けて、ボディ・スキャンをしていても少し集中できるようになりました。変化を感じられたことが大きな収穫でした。
これからも続けていきたいです。

また参加したいです。
自分のために使う時間の大切さに改めて気づかされました。

子どもと一緒にできるマインドフルネスも学びたい。

「実践!初めてのマインドフルネス」参加者を対象にした同窓会も!

「マインドフルネスを継続してやりたい」
「座学も含め、マインドフルネスをもっと深める機会がほしい」
そんな声に応えて、女性みらい研究センターでは『実践!初めてのマインドフルネス』参加者を対象とした「マインドフルネス同窓会」を企画しています。
詳細が決まり次第お知らせしますので、お楽しみに。

ページの上部へ